1.職場のパワーハラスメントとは

職場のパワーハラスメントとは、同じ職場で働く者に対して、職務上の地位や人間関係などの職場内での優位性を背景に、業務の適正な範囲を超えて、精神的・身体的苦痛を与える又は職場環境を悪化させる行為をいいます。

2.パワハラ(パワーハラスメント)の3つの要件
① 職場の地位・優位性を利用している
   対象は上司や先輩などのほか、同僚に怒鳴られたとしても反論することができない関係性
   であれば、同僚も含まれます。

② 業務の適正な範囲を超えた指示・命令である
   業務とは関係ない個人的な事項を命令すること(個人的な金銭貸借の強要)、注意指導に
   あたって土下座を強要することなどが考えられます。

③相手に著しい精神的苦痛を与えたり、その職場環境を害する行為である
  相手の人格や尊厳を毀損する発言を行うことで著しい精神的苦痛を与えること。
  ちょっとしたミスをあげつらえて感情的な表現をすることなど。


3.パワハラ6つの類型(種類)

 A. 身体的侵害
   目に見えて分かりやすい暴力や傷害のこと。
   殴る・蹴る・突き飛ばすなどや、タバコの火を近づけたり、立ったまま電話営業をさせる
   ようなことも含まれる。

 B. 精神的侵害
   脅迫や名誉毀損、侮辱、酷い暴言などの精神的侵害はパワハラの典型例。
   結果的に精神障害を患ってしまうようなことも含まれる。

 C. 人間関係からの切り離し
   無視、隔離、仲間はずれにするなどの行為や、
   仕事を教えない、席を隔離するなども状況によって可能性がある。

 D. 過大な要求
   業務上明らかに達成不可能なノルマを課し、相手の職場環境が害されていると判断される
   こと。
   達成できなければ、怒鳴るなどの他のタイプのパワハラとも併用される場合もある。

 E. 過小な要求
   程度の低い単調な作業を与え続け、相手の職場環境が害されていると判断されること。
   意味のない仕事をさせることも含まれる。
 
   親和産業事件(平成25年4月25日判決)
    2ヶ月間の退職勧奨の後、それを拒み続けていたため、倉庫業務に降格された。倉庫業務
    への降格は前例もなく、給料は2分の1になった事案。
    →降格命令は社会的相当性を逸するとして無効。

 F. 個の侵害
   プライベートな内容に過剰に踏み入ってくる行為や、相手に精神的苦痛を与えたりして、
   職場環境が害されていると判断されること。
   なお、女性に対して個の侵害を行なう➡セクハラともなる可能性もある。

4.パワーハラスメントの対処方法と解決策
 1)パワハラを裁判で訴える
    パワハラやセクハラは、証拠集めが難しく裁判まで持ち込むのであれば、証拠の重要性
    を認識して、メモ・メール・録音・写真等証拠を確保するよう努めること。

 2)パワハラを止めさる
    多くの方がパワハラを止めさせることがまずは第1。
    上司や先輩個人でパワハラが行なわれている場合には、まずは会社を味方に付け、
    パワハラを行っている人物に注意してもらうように働きかける。

 3)気をつけるポイント
    証拠が揃っていないと、パワハラと認められづらいため、自分一人で戦うより、相談相手
  確保すること。社内であれば、相談室や他の部署の責任者など。
    社外であれば、弁護士や行政書士、パワハラ専門の相談窓口に相談する。
    同時に、残業代未払いや不当な降格などの被害がある場合は、併せて相談しましょう。

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