1.急速な高齢化社会の日本では、認知症患者の増加が深刻な社会問題となっている。
2015年1月に厚生労働省が発表した認知症の高齢者に関する内容によると、2012年
では462万人だった認知症患者が、団塊世代が75歳以上になる2025年では、患者数
が700万人まで増えるとの推計が出ている。
これは、65歳以上の5人に1人が認知症になるかもしれないということ。
そこで、ここでは認知症とはどのような病気なのか、その種類や症状、特徴などを
説明したいと思う。
認知症は、さまざまなことが原因で脳の細胞が壊れて死んでしまい、記憶や判断
力などに障害が起きて、日常生活に支障が出る状態のこと。
それは、老化によるもの忘れとは、まったく別のものであるとのこと。
2.認知症の種類と特徴
認知症は主に4つの種類があります。それぞれの症状と特徴は以下の通り。
◇アルツハイマー型認知症
アルツハイマー型は、脳にアミロイドβタンパク質やタウタンパク質といった異
常タンパク質が溜まり、神経細胞が壊れて死んでいき、脳の委縮が進むことで
発症する。最も患者数が多く、認知症患者の約50%がアルツハイマー型といわ
れている。
初期は記憶障害から始まることが多く、症状が進むと徘徊したり、暴言を吐
いたりするようになる。重度になると被害妄想や幻覚が出るようになって、身
体機能が低下していく。
◇脳血管性認知症
認知症患者の約15%が脳血管性といわれています。脳梗塞や脳内出血、脳動脈
硬化などを患うことによって一部の神経細胞に酸素や栄養分が行き渡らなくなり、
脳機能が低下し、神経細胞が死んでしまうことで発症する。
意欲や注意力の低下に始まり、感情の起伏が激しくなったり、記憶障害や運
動障害が起きたり、場合によってはうつ症状が出ることもある。
◇レビー小体型認知症
レビー小体型は、大脳皮質の神経細胞の中にレビー小体といわれる特殊タンパ
ク質が多く現れ、神経細胞を壊していくことで発症する。認知症患者の約20%
がレビー小体型といわれている。
その症状は、実際にはその場にないものが生々しく見える幻視が現れ、筋肉
のこわばりや手の震えなどパーキンソン病に似た症状が出ることが大きな特徴。
また、頭がはっきりしているときもあれば、ぼんやりしているときもあり、
症状は日々変動しながら、進行していく。アルツハイマー型のような脳の委縮
はあまり見られない。
◇前頭側頭型認知症
これはピック病とも呼ばれ、脳の前頭葉、側頭葉が委縮することで発症します。
初期は人格や性格が極端に変わるなどの人格障害が起き、同じ行動を繰り返す、
話している途中に突然立ち去るなど、行動異常が見られることがこの型の特徴。
時に万引きなど反社会的な行動をとることがある。
3.認知症の予防について
これからも患者数が急激に増えていくと見られる認知症だが、予防する方法は
あるか。
認知症の中でも、アルツハイマー型と脳血管性の場合は、生活習慣病との関連
が深いと考えられている。
生活習慣病には、脳卒中、糖尿病、高血圧、心臓病、脂質異常症、肥満が挙げ
られるが、これらは食生活の乱れ、運動不足、過度の飲酒、喫煙、ストレスなど
の積み重ねが原因で引き起こされる病気。
ゆえに、日頃から、生活習慣を整えることを意識して生活していけば、認知症
の予防にもつながる。
4.生活習慣の見直し方
1)[栄養バランスの取れた食事を摂る]
特に野菜や果実に多く含まれるビタミンC、Eは抗酸化作用があり、老化を
防ぐといわれているので、積極的に摂ること。
2)[適度な運動を心がける]
有酸素運動が適しています。ウォーキングなどは取り組みやすいところ。
私は水泳を週に1回行くことを課題にしている。約1キロは最低限泳いでいる。
3)[十分な睡眠時間]
睡眠不足は疲労のもとになり、判断力を鈍らせます。
4)[過度の飲酒、喫煙]
飲酒は適量を心がける。喫煙は血管を収縮させて血流を悪くするといわれ
ているので注意が必要。
5.認知症の予防方法として、普段からできるのものとしては、実は、人との
コミュニケーションが認知症を防ぐといわれている。人と会話をして関わりを
持つことで脳は活性化される。これが脳への刺激となり、新たな神経細胞の
生成を促すことになる。
また、何かを作ったり、体を動かしたりする趣味を持つことも、脳の活性化
につながるのでおすすめ。
6.大事なのは早期治療
認知症になってしまったときは、早めの手立てが必要。
もしご家族が認知症かもしれないと感じたときは、できるだけ早くかかり
つけ医やもの忘れ外来などで診察を受けること。
認知症は、初期の段階で適切な治療を受け、投薬などを行えば、進行を遅
らせることができる。
また、地域包括支援センターでも認知症の相談に乗ってくれるので活用する。
認知症は、誰もが患う可能性のあるもの。
日頃から生活習慣を整え、人とのコミュニケーションを取ったり、趣味を
持ったりして、予防につなげるようにする。
また、ご家族の様子がおかしいなと感じたら、早めに医師の診察を受け、
公的介護保険のサービスを積極的に利用すること。
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