1.エンディングノート(終活ノート)の意義
 1)自分のこれまでの人生を振り返ることができる。
   エンディングノートに記入する意義、第一は、「人生を振り返る」こと。
   『生まれてから現在に至るまで、どんな人と出会い、どんなことを経験し、
    どんな暮らしをしてきたかを、改めて見つめ直す』ことが出来る。
 
 2)亡くなった後の希望・要望を伝えることができる。
   年齢を重ねるにつれて、“葬儀はこうしたい!”、“老後はこう過ごしたい!”
   などの希望・要望は、増えていくし、それをしっかりとご家族(ご遺族)
   に伝えておくことで、困らない状況を作ってあげることができる。

 3)残りの人生のあり方を考える。
   自分のこれまでの人生を俯瞰することから、エンディングノートの記入を
   通じて、“これからの人生をどうしたいか”、考えることができる。
   残された家族が困らないようにする為には、どんなことが必要か等も考え
   ていく機会にもなる。

2.エンディングノートのメリット(遺言書との比較)
 ①エンディングノートには、遺言書と違い、書き方や決まりがない。
  そのため、自由に、ご自身が思うままに、記入をすることができる。
 ②その作成には、遺言書を作成する費用や公正証書遺言における公証役場への
  費用は発生しない。
 ③実際に相続が発生した際に、エンディングノートは相続人のための一定の指針
  にもなる。具体的には、エンディングノートが残っていることで、相続人の
  ための遺産分割の方向性を示すこともできる。

3.家族にとっての、エンディングノートの役割
  エンディングノートを書いておくことで、残された家族は様々な決め事や
  手続きを進めやすくなる。体力に余裕があるうちに、身辺をある程度片付けて
  おく「生前整理」の一環でもあり、資産のことや葬儀内容をはじめ、解約しな
  ければならないサービスのことや、供養方法など残された家族にとっては、
  大切な形見となると同時に、大変大切な情報源となる。
  上記の観点から、書くべき内容を事項に列挙しておく。

4.書く内容一覧と書き方のポイント
  エンディングノートへ書き残しておくことを、カテゴリーごとに列挙。
  ご自身が分かっていても、家族が把握できていないことも多くあるため、
  その点を意識しながらノートに書き込んでいくこと。
 1)自分のこと
   ・本籍地
   ・運転免許証
   ・健康保険証・パスポートの保管場所
   ・住民票コード
   ・マイナンバー
 2)資産のこと
   ・預貯金 ・銀行名や口座番号、ネットバンキング用のIDなど
   ・公共料金やクレジットカードなどの自動引き落としの情報
   ・年金 ・基礎年金番号や加入した年金の種類などの公的年金に関すること
   ・企業年金や個人年金などの私的年金に関すること  
    ※資産に関することを記入する際には、くれぐれもエンディングノートの紛失
     を想定したうえで記入すること。例えば、銀行口座の暗証番号、クレジット
     カード番号などを全て記入すると、不正に利用されてしまう恐れがある。
     あくまで、家族に存在を伝えられる範囲の情報とすべき。
 3)資産 ・有価証券やその他の金融資産
   ・不動産に関すること
   ・骨とう品や貴金属などの資産価値があるもの
   ・貸金庫やトランクルームなどの有無
   ・貸しているお金
 4)借入金・ローン ・借入先名や返済方法、担保の有無など
   ・借金の保証人などの保証債務
   ・クレジットカード ・カード名称やホームページ用ID、紛失時の連絡先
   ・電子マネーやポイントカード
 5)保険
   ・加入している保険会社名と種類、商品名 
 6)身の回りのこと
   ・携帯電話の契約終了時等の連絡先
   ・パソコンのプロバイダ名、メールアドレス
   ・ホームページのID 
    ※インターネットのサービスについては、ログイン情報だけでなく、
     アカウントを残すか退会するのか、投稿してほしいメッセージなど
     もあれば付け加えておく。
 7)家族・親族・知人のこと
   ・家族・親族の一覧
   ・現在の家族や自身の親や兄弟の続柄、連絡先
   ・同居していない家族や養子の有無など
   ・相続の際に使用する親族表
   ・友人・知人の一覧
   ・友人や職場の同僚の連絡先
   ・自分の葬儀に参列してほしい人
    ※作成する機会の少ない親族表だが、亡くなった時にスムーズに訃報
     連絡をしたり、相続人と相続順位の把握をしたりする際に役立つ。
     また、古い友人への連絡先が現在も有効であるか、この機会に確認する。
 8)医療・介護のこと
   ①病院やお薬について
    ・かかりつけの病院名や電話番号
    ・常用している薬
    ・持病やアレルギー
   ②告知について
    ・延命処置
    ・重病を患った際の治療方針を決める人
    ・病名の告知について
    ・回復が見込めない場合の延命措置について
    ・臓器提供や献体登録の有無
   ③介護について 
    ・希望する介護施設や内容
    ・介護内容の方針を決める人
    ・費用について
    ・認知症になったらどうしてほしいか
    ・介護をする人に伝えておきたいこと
     ※告知や延命処置、介護の希望する内容については、いざという時に
      ご自身と家族の意見が異なることがないよう、一人で決めずに家族や
      親しい方に相談をしながら記載すること。
   ④葬儀・納骨のこと
    ・希望する葬儀の内容
    ・菩提寺(ぼだいじ)の名前や連絡先、宗派
    ・喪主になってほしい人
    ・葬儀に呼んでほしい人
    ・遺影に使ってほしい写真
    ・費用について
    ・希望する納骨方法
    ・お墓の所在地や連絡先、墓地の使用権者
    ・お墓を継承してほしい人
     ※葬儀の内容については、家族だけで行ってほしいという希望や、
      できる限り費用を抑えて他のことに使ってほしい旨などを記入する。
      ご遺骨の供養方法については、お墓だけでなく、海洋散骨や永代供養など
      様々な方法もある。
   ⑤遺言のこと
    ・遺言書 ・遺言書を作成しているかいないか
    ・保管場所と種類(自筆証書、公正証書、秘密証書)
    ・作成時に相談した専門家の連絡先
    ・誰に何を相続させるかの希望
※エンディングノートには法的効力はない。
      →「家族が参考にするためのもの」と認識したうえで記載すること。
      法にのっとった遺産相続を希望するのであれば、必ず遺言書の作成を行うこと。
      遺言書の有無は、遺産分割協議を行うかどうかを決める重要な情報
      となるためしっかりと明記する。

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