1.長期化が避けられないことが明らかになったコロナ禍に対し、政府は経済的な負担を軽減するた
 め、全国民に一律10万円の給付を決めたが、このコロナ給付金をめぐって、このコロナ禍の中、
 定額給付金をめぐってマイナンバーカードの不備が露呈した。
  政府はマイナンバーのシステムを給付に活用する方針を打ち出していたが、2015年の施行から
 5年が経過しても利用が広がっていないマイナンバーはほとんど役に立たなかった。各市町村の基
 本台帳との結びつきができていなかったことが原因だ。

2.マイナンバーカードの活用シーンが拡大
  交付枚数も全人口のおよそ10人に2人くらいしか所持しているマイナンバーカードだが、今後、
 健康保険証としての利用が始まるほか、ICチップ内の電子証明書や空き領域等を利用した民間活
 用も増加しており、今後、さまざまな分野での利活用拡大が期待されていることから、マイナン
 バーカードの今後について書いてみたい。

  マイナンバーカードの用途拡大の動きが加速している。当初は
 ①コンビニでの各種証明書(住民票の写し、印鑑登録証明書など)の交付や
 ②e-Taxによる確定申告での電子署名、
 ③身分証明書代わりの活用がメインだった。
  しかし今後は、健康保険証としての活用が開始される予定のため、今後も利用者が増えると
 予想されている。政府では”マイナンバー制度を利用して公平公正な社会の実現や我が国全体の
 生産性向上”を目指しており、この実現のために、官民含めた事務手続のオンライン化推進に
 必須となる「マイナンバーカード」の普及が欠かせないと考えているようだ。

3.「マイナンバーカードを健康保険証として使う政策は2018年度から段階的にスタートし、
 2020年度から本格運用される予定とのこと。
  また、総務省はマイナンバーカードの利用者証明機能をスマートフォンのSIMカードに書き
 込んで使う実証実験を行っており、将来、我々が常時携帯するのはICカードではなくスマート
 フォンとなっていくと推測される。マイナンバー自体が付いたカードを持ち歩かずに、安全に
 便利な機能だけを使えるようになる。
  こうした用途拡大や盗難・紛失時の悪用を防ぐ仕組みが確立されたことで、マイナンバー
 カードの普及が一気に進み、いずれ持っているのが当たり前という時代が到来する可能性が高い
 と思われる。
  マイナンバーカードは厳格な本人確認が行えるツールとして有効に機能することから、運転
 免許証に代わる身分証明書としても活用されているが、地方公共団体や企業ではICカードに
 アプリケーションを内蔵し、職員証・社員証として活用するケースが出始めているとのこと。

  「マイナンバーカードに本人を識別するためのIDを記録したアプリケーションを搭載する
 ことで、公務員の職員証や企業の社員証として使うことができる。施設の扉に設置したIC
 カードリーダーなどにマイナンバーカードをかざせば、権限を持った利用者だけが入退場
 できるようになるとのこと。
  すでに、NECは内閣官房に、マイナンバーカードを全府省統一の国家公務員身分証として
 利用できる共通発行管理システムを納入しており、中央省庁では2016年4月から庁舎などへ
 の入館にマイナンバーカードを使い始めている。
  地方公共団体でも2017年6月、徳島県が都道府県では初めてマイナンバーカードを職員証
 に採用し、NECの入退管理システムを利用し特定エリアへのセキュアな入退管理を実現して
 いるとのこと。
  一般的に、職員証や社員証などのICカードを作製するには、1枚あたり数千円の媒体費用が
 かかるため、膨大な人数を擁する組織では、カード作成のコストだけでかなりの費用負担とな
 る。その点マイナンバーカードは国が当面の間は無料で交付するため、カードの作製費がかか
 らない。
  さらに、厳格な本人確認をした上で発行されているため、PCログインや勤怠管理、複合機
 認証といった組織内での多目的利用を考える上でも安心して利用できるメリットがある。
  生体認証を組み合わせれば複数要素での本人認証も可能となるため、セキュリティ強靱化策
 の一環としても有効だ。

 「マイナンバーカードを職員証や社員証として使えば、入退管理やPCログインなどのほか、将来的にはオフィスの自動販売機や食堂・売店などでのキャッシュレス決済などにも利用できるようになり、組織全体のセキュリティ強化に加え、職員や従業員の利便性向上にもつなげることができるとのこと。

 また、地方公共団体での先進的な活用例としては、千葉市の図書館利用カードへの適用事例が挙げられる。千葉市図書館では2017年6月以降、貸出の際に利用者がICカードリーダーにマイナンバーカードをかざすだけで図書が借りられるようになった。

 さらに発展的な活用事例も出ている。マイナンバーカードに記録されている顔画像データを使った本人確認。ご存じないのですが、マイナンバーカードのICチップには券面と同じ本人の顔画像データが記録されている。電子チケットでの入場管理などに利用することで、さまざまな大規模イベントの安全で円滑な運営、地域のにぎわい創出にも貢献できる。
 このようにマイナンバーカードの利活用に関して既に幅広いユースケースを持っている。
 マイナンバーカードの可能性はさらに広がり始めている。マイナポータル本格稼働後のAPI連携サービスの開始により、今後、官民データ連携の利用シーンが大幅に拡大する可能性がある。
  「例えば住宅ローンでは、これまでなら所得証明等の紙の書類を取り寄せての手続きが必要だ
が、今後はマイナポータルを介して、すべてネット上でワンストップに行えるようになる。
 マイナンバーカードを利用した本人同意の上で、官公庁や地方公共団体が管理する個人データをセキュアに企業に送ることができることから、今まで連携不可能であった官と民が電子データで「つながる」ことにより新たなビジネス創出の契機となるデジタルトランスフォーメーションにつながっていく可能性が高い。 

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