著作者と出版者との契約の種類と選択基準

著作者と出版者との間で契約を締結する場合の選択肢として、以下の契約形態があります。

1.まずは従来から著名な作家が出版社と契約する方法について、書きたいと思います。
 1)通常のライセンス契約を締結し出版を許諾する契約(出版許諾契約)
  ・著作者が出版者に対して、出版を認め禁止権を行使しないことを約束し、出版者はこれに対して著作者に対価を支払うことを
   約束する契約。
  ・特定の出版者に対してのみ出版を許諾し、他の出版者に許諾しないという独占的出版許諾契約が一般的。
  ・債権的な契約で、著作者と出版者との間に請求権を発生させるだけ。
  ・著作権侵害の場合、出版者は著作権者ではないので、著作権が侵害されても、みずから差止め請求をすることはできない。
  ・著作者が、別の出版者とも契約をしてしまったという二重契約の場合には、出版権設定契約であれば、出版者は、出版権設定登録
   (著作権法88条)をして対抗要件を備えておけば、他の出版者に出版権を対抗できえる。
  ・著作権の二重契約譲渡の場合も、先に著作権移転登録(著作権法77条)をして対抗要件を備えれば、出版権を対抗できる。
    
 2)複製権等の譲渡契約を締結し出版者が複製権者となり出版する契約(著作権譲渡契約)
   ・著作権者が著作権を出版者に譲渡して移転させる契約。
   ・著作権という物権的権利が譲受人に移転し、著作権者は、譲渡によってもはや著作権者ではなくなる。
   ・著作者にとっては酷な契約となるため、基本的にはこの契約は選択しないほうが無難といえる。
   ・著作権侵害の場合、出版権設定契約を締結した出版者は、出版権という物権的な権利の権利者となるため、
    出版権侵害者に対して、自ら差止めを求めることができる。
   ・著作者が別の出版者とも契約をしてしまったという二重契約の場合、出版者は、出版権設定登録(著作権法88条)をして
    対抗要件を備えておけば、他の出版者に出版権を対抗できる。
   ・著作権の二重譲渡の場合も、先に、著作権移転登録(著作権法77条)をして対抗要件を備えておけば、他の譲受人に対して
    著作権譲渡を対抗できる。
 
 3)出版権設定契約(著作権法79条以下)
   ・著作者が、出版者に対し、出版権という物権的な権利を設定する契約。
   ・出版権には、1号出版権と2号出版権があり、(著作権法80条)片方だけを対象にした出版権設定契約も可能。
    →媒体で電子書籍が発行できても、送信はできないといった事態や、その逆の状況が発生するため、両方を対象とした出版権設定
     契約を締結する必要性あり。
   ・著作権侵害の場合には、著作権を譲り受けて著作権者となった出版者が差止め請求を行うことができる。
   ・一般的な出版許諾契約では著作権は著作者が保有しているので、著作権を侵害された場合、著作者自らが差止めの裁判を行う必要が
    あるが。マンガなどのように国境を越えて侵害が行われると、個人の著作者が対応するのは困難なため、出版権設定契約がもとめら
    れる素地が出てきているのではと思います。

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